住宅ローンを除く借金の総額が5,000万円で、将来的に安定した収入を見込める場合に、裁判所の監督の下、債務の一部免除や長期の弁済条件などを組み込んだ再生計画を作成し、それに従い返済していく制度です。
※債権者の数、事案の軽重などによって、かかる期間は異なります。
借金額と財産、現在の家計状況を聞き取り、どのような方法で債務を整理したらいいか提案します。
受任する場合は、借金額や財産のわかる書類(請求書や通帳等)をお預かりします。
依頼人の代理人になった旨を債権者へ通知します。
この弁護士からの受任通知が債権者に届けば、債権者からの取立が止まります。
裁判所へ申立書類を提出します。
裁判官が再生手続の利用資格を満たしていると判断すれば、裁判所が民事再生の開始決定をします。
借金の免除額・残額を検討し、具体的にどのように借金の返済を行っていくかの計画案を作成します。
この計画案を裁判所・債権者に提出します。
5.で作成した計画案について、債権者から反対の意見が出れば、案を練り直すこととなります。
裁判所が認可の決定をします。
7.で裁判所によって認められた計画に従って返済をスタートさせます。
マイホームをお持ちの方は手放さずに借金を返済できます。
自己破産と異なり、免責不許可事由がありません。
ある程度安定した収入がなければ利用できません。
官報に掲載されます。
住宅ローンの返済額は減額されません。
7年間ほどは銀行などの金融機関から借金ができなくなったり、クレジットカードが作れなくなったりします。
支払不能になるおそれがあるくらい借金があるが、継続的な収入があり、一定の金額であれば支払っていくことが可能な場合、借金の額を一定の金額に減少させ、原則として3年間で分割して返済していくという手続です。減額後の借金を完済すれば、その他の借金については法律上返済する義務が免除されます。
個人再生には、(1)小規模個人再生、(2)給与所得者等再生の2つの手続があります。
住宅ローン以外の借金の総額が5,000万円以下であり、継続して収入を得る見込みがある方が利用できる手続です。原則として3年間で、法律で定められた最低弁済額か、保有財産の現在の合計金額のいずれか多い方の金額を最低限支払う必要があります。また、給与所得者等再生と異なり、再生計画が裁判所に認められるためには、債権者の過半数の反対がなく、かつ債権額の2分の1以上の反対がないことが必要となります。
小規模個人再生を利用できる方のうち、給与等の安定した収入があり、収入の変動幅が小さい方が利用できる手続です。給与所得者等再生の場合には、最低弁済額と保有財産の現在の合計金額のほか、可処分所得(収入から所得税等を控除したいわゆる手取り収入)の2年分のうち、いずれか多い方の金額を最低限支払う必要があります。そのため、小規模個人再生の場合よりも返済額が高額になることが多いです。一方で、小規模個人再生の場合と異なり、債権者数の過半数および債権額の2分の1以上の反対がないことという要件をみたす必要はありません。
税金等の公租公課、悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償債務、故意または重過失による不法行為に基づく損害賠償債務、養育費や扶養義務に基づく支払債務、罰金などの債務は減額されません。
民事再生と自己破産とは、下記図のとおり(1)借金の免除(2)財産処分の有無(3)資格制限の有無の3つの点で異なります(京都地裁の場合)。
個人再生 | 自己破産 | |
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(1) 借金の免除 | 原則として減額されるが免除はされない。 ※減額の対象にならない債務を除く (Q3参照) |
原則として全額免除。 ※免除の対象にならない債務を除く (自己破産に関するQ&AのQ3参照) |
(2) 財産処分 | なし ※住宅以外の財産で、ローンが残っている場合、処分されてしまうことがあります。 |
管財手続の場合:あり 同時廃止手続の場合:なし |
(3) 資格制限 | なし | あり |
再生計画案に住宅資金特別条項を定めることにより、住宅ローンの支払いを継続して、住宅を残すことができる場合があります。
住宅ローン以外の借金を減縮しつつ、住宅ローンを返済して住宅の確保を目指す制度です。一定の条件の下で、裁判所の許可を得て、住宅ローンの返済を続け、自宅を残すことができます。
将来継続した収入が見込めるのであれば、アルバイト・パートでも可能です。ただし、臨時採用など、期限付きの勤務形態の場合はできません。
自己破産のような免責不許可事由(自己破産に関するQ&AのQ4参照)はないので浪費・ギャンブルなどで多額の借金をしてしまった人でも、要件に合致さえすれば利用可能です。
ほとんどの場合、他人に知られることはありません。
個人再生をすると、自己破産の場合と同様に「官報」という国が発行している新聞に掲載されますが、ほとんどの人は官報の存在を知りませんし、官報は毎日発行されており、多数の破産者名が掲載されていることからすると、官報から破産した事実を知られることはあまりないと考えられます。
影響ありません。法律上は、夫、妻、子供は別人格ですので、家族が保証人になっていない限り、家族の借金を他の家族が返済する必要はありません。
本人が個人再生をして借金が減額されたとしても、それは保証人には何の影響もありません。したがって、本人の他に保証人がいるのであれば、債権者は保証人に対し、全額借金の請求をすることになります。
保証人がいる場合には事前にしっかりと説明し、場合によっては保証人を含めた債務整理を考える必要があります。
原則として、保険(生命・終身・傷害・医療・自動車・火災他全て)を解約する必要はありません。ただし、解約返戻金等の額が大きい場合は、最終的な支払総額に影響することがあります。
購入方法や自動車の価値によって、手元に残すことができるか異なります。
まず、自動車をローンではなく現金で購入したような場合は、手元に残すことができます。ただし、自動車の資産価値が高いような場合は、最終的な支払総額に影響することがあります。
一方、自動車をローンで購入した場合で、まだローンが残っているような場合は個人再生することによりローン会社に引き上げられてしまいます。
ただ、この場合でも第三者の方に代わりにローンを返済して自動車を買い取ってもらい、その方から自動車を借りるという方法により事実上維持することは可能です。
家財道具や電話加入権などの生活としての必需品については、手元に残すことができます。