RSD(反射性交換神経性ジストロフィー)は、CRPS(複合性局所疼痛症候群)、カウザルギーとも呼ばれるもので、外傷をきっかけにして、四肢に慢性的な激しい疼痛が発生する症状です。骨折や打撲などの外傷、手術、脳疾患など何らかの刺激で発生すると言われていますが、原因が不明な場合もあり、また、その原因から症状が発生するメカニズムは解明されていないとされています。「灼熱痛」とも言われる激しい痛みが生じること、衣擦れや微風などの触感により痛みが惹起されること、患部の著しい腫脹、皮膚に色や光沢、乾燥などの変化が生じること、関節拘縮などによる手足の機能低下等の症状が起こりますが、外傷と不釣り合いな症状が長期にわたり続くので、因果関係が争われやすい怪我です。
RSDと診断された場合、後遺障害として以下の等級が認定される可能性があります。
等級 | 要件・症状 | 労働能力喪失割合 |
---|---|---|
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外に服することができないもの | 56% |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる業務が相当な程度に制限されるもの | 35% |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの | 14% |
交通事故においては、外傷が軽微であるのに、外傷の程度や範囲と明らかに不釣り合いな強度または範囲の疼痛が持続的にあるケースが見受けられます。例えば、右手の第3指の捻挫という外傷から右腕全体の痛みや機能低下が発生するような場合です。
但し、病院の臨床時に使用する判定指標と、自賠責の後遺障害等級認定や裁判で理解される判断基準とは一致せず、争いになるケースが多いと言えます。
また、RSDは、発症のメカニズムが明らかになっていないこと、個人差が大きいこと(同じ外傷を負ってもRSDを起こす人は稀であること)等から、患者の素因も重視され、因果関係が否定されたり、素因減額されることがあります。
示談、訴訟で有利に賠償交渉を進めるには、納得がいく等級認定が事前に出ていることが望ましいといえます。等級認定が出る前に、異議申立てをする前に、なるべく早くご相談いただくようおすすめします。